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「ハローワークって、中高年が行くところでは?」「求人の質が低いんでしょ?」——そんなイメージを持っていませんか。結論から言うと、20代には専用の窓口があります。厚生労働省は、正社員を目指す若者だけを対象にした窓口を全国に置いていて、エージェントとかなり近いことを無料でやっています。
この記事では、その中身と、エージェントとの本当の違いを整理します。読み終わるころには、自分がどちらを使えばいいかが決められます。
ハローワークには、20代専用の窓口がある
「わかものハローワーク」といいます。
それとは別に、ハローワーク内に設置された「わかもの支援コーナー」「わかもの支援窓口」もあります。
数でいうと、わかものハローワークが全国21か所、支援コーナー・窓口が199か所です(2026年8月22日時点)。ただし拠点は統廃合で変わります。行く前に、下の出典ページにある一覧で最新の設置場所を確認してください。
対象は、正社員を目指す若者(おおむね35歳未満)。すべて無料です。
ただし、支援コーナー・支援窓口は「わかものハローワーク」と中身が同じとは限りません。それぞれ支援内容や規模が異なるため、詳しいことは都道府県労働局か近くのハローワークに問い合わせてください。
この先で紹介する内容は、「わかものハローワーク」という名前が付いている窓口のものとして読んでください。近くの支援コーナー・窓口で同じことが受けられるかは場所によります。行く前に電話で確かめるのが確実です。
出典:厚生労働省「わかものハローワーク」/2026年9月12日確認
担当者がつく
ここが一番知られていない点です。わかものハローワークは担当者制です。
「就職支援ナビゲーター」と呼ばれる担当者が付き、マンツーマンで支援します。厚労省のページによると、この担当者はキャリアコンサルティングの有資格者や、企業の人事労務管理の経験者です。
最初の段階で課題を洗い出し、個別支援計画を作ります。つまり、窓口で求人を検索して終わりではありません。
初回は予約不要です。
できることは、エージェントとかなり重なる
厚労省のページに挙がっている支援内容を並べると、こうなります。
- 担当者制の職業相談(必要に応じて臨床心理士等にも相談できる)
- 応募書類の作成支援(履歴書・職務経歴書)
- 模擬面接
- セミナー(ビジネスマナー、応募書類の作り方、面接対策)と、同じ悩みを持つ人同士のグループワーク
- 職業訓練(ハロートレーニング)の情報提供と相談
- 全国の求人の検索・閲覧(求人情報は毎日更新)
- 企業説明会・面接会
- 就職後の定着支援
書類添削も模擬面接も入っています。エージェントの売りとされているものの多くが、ここに含まれています。
さらに、就職したあとの相談にも乗ってくれます。厚労省のページによると、長時間労働や賃金不払残業が疑われる企業についての相談も受け付けています。
「無料だから中身が薄い」という前提は、事実に合っていません。
では、何が違うのか
支援内容が重なるなら、違いはどこにあるのか。求人の集まり方です。
ハローワーク側のしくみ
ハローワークインターネットサービスによると、企業が申し込んだ求人は、全国のハローワークに設置された端末とハローワークインターネットサービスの両方で公開されます(どちらで見ても同じ求人情報です)。
そして、求人を申し込めるのは原則として雇用保険適用事業所単位です。つまり、従業員を雇用保険に入れている事業所であれば、規模を問わず申し込めるということです。
参考までに、ハローワークインターネットサービスの1日当たりのアクセス数は約240万件(令和5年度末)。
出典:ハローワークインターネットサービス「初めてご利用になる求人者の方へ」/2026年9月12日確認
エージェント側のしくみ
一方、転職エージェントは民間企業です。採用が決まったときに、企業から報酬を受け取ることで成り立っています。
だから、採用にコストをかけられる企業の求人が集まりやすい。逆に言えば、そのコストを負担しない企業の求人は、ここには載りません。
表にすると
| ハローワーク | 転職エージェント | |
|---|---|---|
| 運営 | 国(厚生労働省) | 民間企業 |
| 求職者の費用 | 無料 | 無料 |
| 掲載する企業 | 雇用保険適用事業所なら申し込める | 採用コストを負担できる企業 |
| 求人の傾向 | 地元・中小企業の求人が見つかりやすい | 採用に本気の求人・非公開求人 |
| 応募の動き方 | 自分で探して相談するのが基本 | 担当者から紹介される |
| 日程調整・条件交渉 | 自分で行う | 代行してもらえる |
どちらが優れているかではありません。入口が違えば、集まる求人も違う——ただそれだけです。
なお、担当者との相性で結果が変わるのはどちらも同じです。エージェント側の注意点は転職エージェントのデメリットにまとめています。
既卒3年以内なら、もう1つ窓口がある
わかものハローワークとは別に、「新卒応援ハローワーク」があります。
各都道府県に1か所以上設置されています(全国56か所・2026年8月22日時点。こちらも数は変わりうるので、出典ページの一覧で確認してください)。対象は大学等を卒業予定の学生・生徒と、卒業後おおむね3年以内の方です。こちらも無料で、担当者制です。
エントリーシートと履歴書の作成支援、面接対策が受けられます。
出典:厚生労働省「新卒応援ハローワーク」/2026年9月12日確認
卒業後3年以内なら、わかものハローワークと新卒応援ハローワークの両方が対象になりえます。近いほうに行って、状況を話せば案内してもらえます。
ちなみに、この厚労省のページは「ハローワークは仕事を辞めた人だけが行くところだと思っていませんか?」という一文から始まります。その思い込みは、行政側も認識しているということです。
既卒からの就職については既卒から正社員になる方法でも解説しています。
職業訓練(ハロートレーニング)という選択肢
未経験の職種に移りたいとき、先にスキルを身につけてから応募するという道があります。
ハロートレーニングは、希望する仕事に就くために必要な職業スキルや知識を習得できる公的制度です。
出典:厚生労働省「ハロートレーニング」/2026年9月12日確認
公共職業訓練と求職者支援訓練をまとめた愛称です。そして、受講を希望するときの相談先はハローワークです。
この窓口は、民間のエージェントにはありません。「未経験だから応募できる求人が少ない」と感じているなら、応募先を探す前に、訓練という選択肢があることを知っておく価値があります。
ただし、訓練の期間・費用・受講の条件・給付金の有無は、コースによって大きく違います。この記事では具体的な数字を書きません。ハローワークの窓口で、自分が対象になるかを直接確かめてください。
未経験からの職種転換については未経験からITエンジニアになるにはも参考になります。
逆に、ハローワークには無いもの
ここまでハローワークの中身を見てきましたが、エージェントにしかないものもあります。公平に並べておきます。
非公開求人。企業が「応募が殺到すると困る」「競合に知られたくない」といった理由で、公開せずにエージェントにだけ預ける求人があります。ハローワークの求人は、申し込まれた時点で全国に公開されるしくみなので、この形は取れません。
日程調整と条件交渉の代行。面接の日程を決める、給与や入社日を交渉する——これをあいだに入ってやってくれるのはエージェントです。在職中で、平日の昼間に電話に出られない人にとっては、これが一番大きい差かもしれません。
その企業の内部の話。過去にどんな人が受かったか、面接で何を聞かれたか、職場の雰囲気はどうか。同じ企業に何人も送り込んでいるからこそ蓄積される情報で、公的機関の窓口にはありません。
向こうから提案が来る。ハローワークは基本的に、自分で探して相談する場所です。「合いそうな求人を持ってきてほしい」なら、エージェントのほうが構造的に向いています。
この3つ目と4つ目は、裏返すと「エージェントの都合で紹介される求人もある」ということでもあります。
ハローワークが向いている人・向いていない人
向いている人
- 地元で働きたい。転勤のない、通える範囲の会社を探したい
- 中小企業も含めて、幅広く見たい
- 職業訓練を受けてから就職したい。ハロートレーニングの相談は、ここが窓口
- 失業給付を受けながら探している。求職の申込みも給付の手続きも同じ場所でできる(→失業保険は20代でいくらもらえるか)
- 人に急かされずに進めたい。自分のペースで動ける
向いていない人
- 在職中で、平日の昼間に動けない。開庁時間が限られます(夜間・土曜に開いている所もあるので、通える所を先に調べてください)
- 非公開求人や、特定の職種に絞った求人を見たい
- 日程調整や条件交渉を代わりにやってほしい
- 担当者に求人を持ってきてほしい。ハローワークは基本的に、自分で探して相談する場所です
在職中に進めるなら、時間の制約が一番のネックになります。この点はエージェントや転職サイトのほうが動きやすいでしょう(→転職エージェントと転職サイトの違い)。
結論:どちらかではなく、両方見る
ここまで読めば分かるとおり、ハローワークとエージェントは、そもそも競合していません。
- ハローワークにしかない求人がある
- エージェントにしかない求人がある
- どちらも求職者は無料
だとすれば、片方だけ見て決めるのは、選択肢を自分から狭めていることになります。
現実的な進め方はこうです。
- まず、わかものハローワークに一度行ってみる(初回は予約不要)。担当者に状況を話して、地元にどんな求人があるかを見る
- 並行してエージェントに登録する。書類添削や面接対策を受けつつ、非公開求人を見る
- 応募先は、両方から出てきた求人を並べて決める
何社のエージェントを使うかは転職エージェントは何社登録すべきにまとめています。
使い方の実務
場所を調べる
近くに「わかもの」の名前が付く窓口が無くても、通常のハローワークで相談できます。設置場所は変わることがあるので、厚生労働省のわかものハローワーク・わかもの支援コーナー一覧で、住んでいる地域の最新の窓口を確認してください。電話番号も載っているので、そのまま「どこまで相談できるか」を聞けます。
初回に持っていくもの
初回は予約不要なので、まずは行ってみて構いません。求職の申込み(求職登録)をすることになるので、身分証と、これまでの職歴が分かるものを持っていくとスムーズです。
失業給付の手続きも同時に進めるなら、離職票が必要です(→失業保険は20代でいくらもらえるか)。
求人票の見方に注意する
ハローワークの求人票は、書いてある情報がそのまま条件とは限りません。入社時に受け取る労働条件通知書と食い違うことがあります。
求人票の内容は「募集の条件」、労働条件通知書は「契約の条件」です。見るべきポイントは内定後に届く労働条件通知書で解説しています。
書類と面接の準備は先にやっておく
窓口で添削してもらうにしても、たたき台がないと始まりません。先に一度書いてから相談すると、話が早く進みます。
書き方は履歴書の書き方、面接の流れは転職面接の流れとマナーにまとめています。
よくある質問
Q. 在職中でも使えますか。
A. 使えます。離職していることは条件ではありません。ただし開庁時間が限られるので、夜間や土曜に開いている窓口を先に調べてください。
Q. わかものハローワークが近くにありません。
A. 通常のハローワークでも相談できます。わかもの支援コーナー・わかもの支援窓口が、通常のハローワークの中に設置されています。全国の求人を検索できるので、地域によって求人が見られないということはありません。
ただし、支援コーナー・窓口は、それぞれ支援内容や規模が異なります。担当者制の個別支援計画まで作ってもらえるかは場所によります。期待して行って空振りしないよう、先に電話で「どこまでやってもらえるか」を聞いてから行ってください。
Q. 35歳を過ぎていたら使えませんか。
A. わかものハローワークの対象は「おおむね35歳未満」です。通常のハローワークは年齢を問わず使えます。
Q. ハローワークの求人は質が低いと聞きました。
A. この記事では、その評価をしません。質を比べた公的なデータが無いためです。分かっているのは、掲載のハードルが違うので、集まる企業の顔ぶれが違うということだけです。求人票の見方を身につけて、自分で判断してください。
Q. わかものハローワークと、ふつうのハローワークは何が違うのですか。
A. 対象と支援の形が違います。わかものハローワークは正社員を目指すおおむね35歳未満に絞り、担当者制で個別支援計画を作ります。通常のハローワークは年齢を問わず利用でき、求人の紹介が中心です。求人そのものは全国共通なので、どちらで検索しても同じ求人が見られます。
Q. エージェントにも登録していることを、ハローワークに言っていいですか。
A. 問題ありません。併用は普通のことです。むしろ伝えておいたほうが、重複応募を避けられます。同じ企業に両方から応募すると、企業側で混乱が起きます。
Q. エージェントとハローワークで同じ会社に応募してしまったら。
A. 重複応募は避けてください。企業側で混乱が起きますし、選考に不利に働くこともあります。応募先はメモに残して管理してください。
出典:厚生労働省「わかものハローワーク」/2026年9月10日確認
まとめ
- わかものハローワーク(+通常のハローワーク内のわかもの支援コーナー・窓口)。対象は正社員を目指すおおむね35歳未満。すべて無料。設置場所は厚労省のページで確認する
- 担当者制。キャリアコンサルティング有資格者や人事労務経験者がマンツーマンで支援し、個別支援計画を作る。初回は予約不要
- 書類添削・模擬面接・セミナー・職業訓練の相談・就職後の定着支援まで含まれる。エージェントの売りとかなり重なる
- 違いは求人の集まり方。ハローワークは雇用保険適用事業所なら申し込めるので地元・中小が見つかりやすい。エージェントは採用にコストをかける企業の求人が集まる
- 在職中で平日に動けない人には向かない。そこはエージェントや転職サイトのほうが動きやすい
- どちらも求職者は無料。片方だけ見るのは、選択肢を自分から狭めることになる
「ハローワークは中高年が行くところ」というのは、ただの思い込みでした。使うかどうかは別として、そういう窓口があると知ったうえで選ぶほうが、選択肢は確実に広がります。
転職活動全体の流れは転職活動の進め方で解説しています。


