退職の流れ|円満に辞める6ステップと有給消化・退職後の手続き

公園のベンチに並んで座っている2人の後ろ姿 退職・円満退社

「退職しようと決めたけれど、何から手をつければいいの?」「円満に辞めるには、どう進めればいい?」——そんなふうに、やることの多さと順番の分からなさで不安になっていませんか。結論から言うと、退職は「意思を固める→上司に伝える→退職日を調整→引き継ぎ→備品返却・書類→最終出社」の6ステップで進めれば、円満に辞められます。

この記事では、退職を決めてから最終出社までの流れと、見落としやすい「有給を使い切る退職日の決め方」「退職後の手続き(期限あり)」まで解説します。読み終わるころには、迷わず動けるようになります。

退職を決めたら、まず確認すること

流れに入る前に、最初に押さえておきたい前提が2つあります。

就業規則で「退職の申し出時期」を確認する
多くの会社は「退職日の1〜2か月前までに申し出る」と就業規則で定めています。法律上は、期間の定めのない雇用であれば、解約の申し入れから2週間が経過すれば雇用は終了します(民法第627条第1項)。ただし、円満に辞めたいなら、就業規則の期日に沿うのが無難です。まずは自社のルールを確認しましょう。

引き継ぎしやすい時期を選ぶ
繁忙期の直前や、大きなプロジェクトの途中は避けたほうが、角が立ちにくくなります。後任のことを考えて時期を選ぶ姿勢が、円満退職につながります。

【状況別】転職先が決まっている人/決まっていない人

同じ「退職」でも、次が決まっているかどうかで、退職日の決め方も手続きも変わります。自分がどちらかを先に確認しておきましょう。

項目転職先が決まっているまだ決まっていない
退職日の決め方次の会社の入社日から逆算。有給消化を挟めるか早めに相談有給を使い切れる日から逆算しやすい
健康保険次の会社が加入手続きをするので、原則あなたの手続きは不要任意継続・国民健康保険・家族の扶養から自分で選ぶ(期限あり)
年金次の会社が手続き。空白日があるときだけ切り替えが必要国民年金への切り替えが必要(期限あり)
失業給付対象外(就職先が決まっているため)対象になり得る。離職票が必須
一番の注意点退職日と入社日を空けすぎない(空くと保険の手続きが発生)収入が止まる前提で、生活費の見通しを立てる

決まっていない状態で辞めると、焦りから条件を妥協しやすくなります。可能なら在職中に動くのが安全です。進め方は「在職中の転職活動のコツ」でまとめています。

退職の全体の流れ【6ステップ】

退職は、次の6ステップで進みます。全体像を先に押さえておきましょう。

ステップ1:退職の意思を固める(退職日の1〜2か月前)

辞める決意と、希望の退職日をだいたい決めます。次の転職先を決めてから動くと、収入の空白を避けられます。働きながら進めるコツは「在職中の転職活動のコツ」で解説しています。

ステップ2:直属の上司に伝える

まずは直属の上司に、口頭でアポを取って伝えます。同僚や人事より先に上司へ、が鉄則です。切り出し方に迷う人は、別記事「退職の切り出し方」で詳しく解説しています。

ステップ3:退職日を調整し、退職届を出す

上司と相談して正式な退職日を決め、会社の様式に沿って退職届を提出します。有給の残日数もこのタイミングで確認しておきます。

ステップ4:引き継ぎを進める

後任や関係者に、業務内容・進行中の案件・連絡先などを整理して引き継ぎます。引継書に何を書くか、期間をどう決めるか、「引き継ぎが終わるまで辞めさせない」と言われたときの考え方退職の引き継ぎにまとめました。

ステップ5:備品返却・書類の受け取り

貸与品を返却し、退職後に必要な書類を受け取ります(後述のチェックリスト参照)。

このタイミングで、誓約書への署名を求められることもあります。署名する前にどこを読むかは、「退職時の競業避止と秘密保持」を参考にしてください。

ステップ6:最終出社・退職

お世話になった人へ挨拶をして、気持ちよく最終日を迎えます。

スケジュールの目安は、次のとおりです。

時期やること
1〜2か月前上司に退職を伝える/退職日を相談
3〜4週間前退職届を提出/引き継ぎの計画を立てる/有給の残日数を確認
2週間前〜引き継ぎを実施/有給消化の日程を確定
最終週備品返却/受け取る書類の確認/挨拶

有給を使い切るための退職日の決め方

「有給が余ったまま辞めてしまった」は、退職でいちばん多い後悔のひとつです。ポイントは、最終出社日と退職日を分けて考えることにあります。

有給は在籍している日にしか使えません。つまり、最終出社日のあとに有給消化の期間を置き、その最終日を退職日にするのが基本の形です。

決めること考え方
①残っている有給日数給与明細や勤怠システムで確認する。付与のタイミングは会社によって違う
②最終出社日引き継ぎが終わる日。資料の受け渡しと挨拶をここまでに終える
③有給消化の期間最終出社日の翌営業日から、残日数ぶんを充てる
④退職日有給消化の最終日。ここまでは在籍している扱いになる

たとえば有給が10日残っていて、引き継ぎが9月15日に終わるなら、9月16日から営業日で10日ぶんを有給に充て、その最終日を退職日にする、という決め方になります。

退職日を月末にするかどうかでも変わる
健康保険や厚生年金の資格を失う日(資格喪失日)は、退職日の翌日です(出典:日本年金機構「従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き」/2026年9月3日確認)。月末に退職するとその月は会社の社会保険に入っていた扱いになり、月末の前日に退職すると翌月分から自分で国民健康保険・国民年金に入ることになります。どちらが得かは人によって違うので、迷ったら会社の担当者に確認しましょう。

円満退職のためのコツ

同じ退職でも、進め方しだいで印象は大きく変わります。円満に辞めるコツを押さえましょう。

伝える順番を守る(上司が最初)

人事や同僚に先に話すと、上司の耳に間接的に入り、心証を損ねます。必ず直属の上司から伝えましょう。

タイミングは繁忙期を避ける

忙しい時期の退職申し出は、引き止めや不満のもとになりがち。落ち着いた時期を選ぶと話がスムーズです。

退職理由は前向きに、短く伝える

「給料が低い」「人間関係が…」といった不満をぶつけるのは避け、「新しい分野に挑戦したい」など前向きな理由を簡潔に伝えます。言い換え方は「転職理由の伝え方」にまとめています。切り出す場面の具体的な言い回しは「退職の切り出し方」で解説しています。

有給の残日数が多い人や、「使わせてもらえるか不安」という人は、有給消化と退職日の決め方で逆算の手順と、断られたときの返し方まで詳しく解説しています。

退職前後にやることリスト【チェックリスト】

抜け漏れを防ぐために、以下を確認しながら進めましょう。

  • 就業規則で退職の申し出時期を確認した
  • 直属の上司に退職を伝えた
  • 退職日を合意し、退職届を提出した
  • 引き継ぎ資料を作成し、後任に共有した
  • 有給休暇の残日数を確認し、消化の日程を相談した
  • 貸与品(PC・スマホ・社員証・入館カード・名刺・制服など)を返却した
  • 「資格確認書」が交付されている場合は、会社に返却した
  • 受け取る書類を確認した(離職票・源泉徴収票・雇用保険被保険者証・基礎年金番号通知書〈旧・年金手帳〉など)

「健康保険証を返す」は、もう昔の話です
従来の健康保険証は2024年12月2日以降は新たに発行されておらず、有効期限も2025年12月1日で終了しています。現在は、マイナ保険証(健康保険証として利用登録したマイナンバーカード)を基本とする仕組みに移行しました(出典:厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用(マイナ保険証)について」/2026年9月3日確認)

マイナ保険証を持っていない人には「資格確認書」が交付されており、退職時に会社へ返却するのはこちらです。会社は資格喪失届にこれを添えて提出します(出典:日本年金機構「従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き」/2026年9月3日確認)。マイナ保険証だけを使っている人は、健康保険まわりで返すものはありません。

特に「受け取る書類」は、退職後の転職先の手続きや失業給付で必要になります。もらい忘れがないよう、最終出社前に確認しておきましょう。

退職後にやる手続き【期限に注意】

退職は最終出社日で終わりではありません。次の会社にすぐ入社する場合は会社がまとめて手続きしてくれますが、少しでも空白期間ができる人は、自分で動く必要があります。しかも、期限が短いものばかりです。

期限手続きどこで主なもの
退職日の翌日から20日以内健康保険の任意継続を選ぶ場合の申請協会けんぽの都道府県支部(または健康保険組合)任意継続被保険者資格取得申出書
退職日の翌日から14日以内国民健康保険への加入(任意継続を選ばない場合)市区町村の窓口資格喪失を証明する書類、本人確認書類
退職日の翌日から14日以内国民年金(第1号被保険者)への切り替え市区町村の窓口基礎年金番号が分かるもの、退職日が分かる書類
離職票が届いたら早めに(退職後2週間前後で届くことが多い)失業給付の申し込み住居を管轄するハローワーク離職票、本人確認書類、証明写真、預金通帳など

健康保険は3つの選択肢から選ぶ

退職後の健康保険には、①退職前の健康保険を続ける「任意継続」、②お住まいの市区町村の「国民健康保険」、③家族の健康保険に被扶養者として入る、の3つがあります(出典:全国健康保険協会「任意継続」/2026年9月3日確認)。家族の扶養に入れる条件を満たすなら、自分の保険料負担がないので最も軽く済みます。

任意継続と国民健康保険は、保険料を比べて決める

任意継続は、退職前と同じ健康保険に最長2年間そのまま加入し続ける制度です。申請は退職日の翌日から20日以内で、退職日までに継続して2か月以上の被保険者期間があることが条件です。保険料は、これまで会社が半分負担していたぶんも自分で払うことになるため、退職時の保険料の2倍が目安です(上限があり、退職時の標準報酬月額が32万円を超える場合は32万円で計算されます)。国民健康保険の保険料は世帯の人数や前年の所得などで決まるため、どちらが安いかは人によって違います。市区町村の窓口で国民健康保険の保険料を試算してもらってから決めると失敗しません。

失業給付は「すぐには出ない」ことを知っておく

失業給付(基本手当)は、ハローワークで求職の申し込みをして、失業の状態にあると認められてから支給されます。受給には原則として、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あることが必要です(出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」/2026年9月3日確認)

さらに、自己都合で辞めた場合は、7日間の待期のあとに給付制限期間があります。この給付制限は、2025年(令和7年)4月1日以降に離職した人については原則1か月に短縮されました(それ以前は2か月)。ただし、5年以内に2回以上、正当な理由なく自己都合で退職している場合は3か月になります(出典:厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」/2026年9月3日確認)

離職票は、退職したその日には届かない

失業給付の申し込みには離職票が必要ですが、これは退職後すぐには手に入りません。会社が雇用保険の資格喪失手続きをして、ハローワークが離職票を交付し、それが会社経由で本人に渡される、という流れをたどるからです。会社は雇用保険の資格喪失日(退職日の翌日)の翌日から起算して10日以内に手続きをすることになっているため、手元に届くのは退職から2週間前後になることが多くなります(出典:ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」厚生労働省「手続き一覧表」(雇用保険制度)/2026年9月3日確認)

2週間以上たっても届かないときは、住居地を管轄するハローワークに問い合わせてください。会社から交付されない場合の相談先として案内されています。

つまり自己都合退職の場合、退職日から数えると「離職票が届くまで約2週間」+「待期7日」+「給付制限1か月」+「失業の認定日を経て振込まで通常5営業日」となり、最初の入金まではおよそ2か月かかる計算になります。辞めてから探す人は、この期間の生活費を必ず見込んでおきましょう。

学び直しをすると、給付制限が解除される場合がある

2025年4月以降に、リ・スキリング(学び直し)のために教育訓練等を受けた場合は、この給付制限が解除され、7日間の待期のあとから基本手当を受け取れます。雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)の施行によるもので、同じ厚生労働省のページで案内されています。未経験の職種に挑戦するために職業訓練やスクールを考えているなら、その訓練が対象になるかをハローワークで確認してみてください。順番を知らずに動くと、受けられたはずの給付を逃すことがあります。

住民税は退職後も支払いが続く

住民税は前年の所得に対してかかるため、退職して収入がなくなっても支払いは続きます。退職する月によって、最後の給与からまとめて引かれるか、自分で納付書で払うかが変わります。これは会社の裁量ではなく地方税法で決まっていて、1〜4月退職なら申し出がなくても一括徴収されます。詳しくは退職後の住民税で解説しています。

やってはいけないNG行動

円満退職を台無しにしがちな行動を、先に知っておきましょう。

NG1:無断で来なくなる(バックレ)

連絡なしに出社をやめるのは論外です。損害賠償や書類の未受領など、自分が損をします。すでに連絡できていない状態にあるなら、無断退職したらどうなるで、給料と損害賠償が条文でどう決まっているかを確かめてください。

NG2:SNSや同僚に会社の愚痴を広める

辞める会社であっても、悪口や内部情報の発信はトラブルのもと。狭い業界だと自分の評判にも跳ね返ります。

NG3:引き継ぎをせずに去る

引き継ぎを放棄すると、残る人に迷惑がかかり、最後の印象を悪くします。立つ鳥跡を濁さず、が基本です。

引き止められたときの考え方

退職を伝えると、引き止められることがあります。待遇改善などを提示される場合もありますが、辞める決意が固いなら、感謝を伝えたうえで意思は変えないのが基本です。「お気持ちはありがたいのですが、次に進む決心をしました」と、丁寧かつはっきり伝えましょう。

「辞めさせてもらえない」ときは
なかには、退職を認めない、損害賠償をちらつかせる、離職票を出さないといった対応をされるケースもあります。しかし、期間の定めのない雇用であれば、解約の申し入れから2週間の経過によって雇用は終了します(民法第627条第1項)。会社が同意することは、退職の条件ではありません。

一人で抱え込まず、公的な窓口に相談してください。厚生労働省の「総合労働相談コーナー」は、各都道府県労働局や労働基準監督署のなかに設置されており、解雇・いじめ・嫌がらせなどあらゆる分野の労働問題について、専門の相談員が面談または電話で対応します。予約不要・無料です(土日祝・年末年始は閉庁)。

こうした対応をされる会社の特徴は「ブラック企業の見分け方」でも整理しています。

よくある質問

Q. 退職はいつ伝えればいいですか?
A. 就業規則の申し出時期(多くは退職日の1〜2か月前)に従うのが円満です。法律上は、期間の定めのない雇用なら申し入れから2週間で終了しますが、引き継ぎを考えると余裕を持つのがおすすめです。

Q. 有給休暇は使い切れますか?
A. 有給は労働者の権利です。残日数を確認し、早めに上司へ相談して消化しましょう。最終出社日のあとに有給消化の期間を置き、その最終日を退職日にするのが基本の形です。

Q. 退職届は必ず必要ですか?
A. 会社の様式や慣例に従います。なお「退職願」は退職を願い出る書類、「退職届」は退職を正式に届け出る書類で、一般には退職届を提出します。まずは上司に確認しましょう。

Q. 健康保険証は返さなくていいのですか?
A. 従来の健康保険証は2025年12月1日で有効期限が終了しており、返却するものではなくなりました。マイナ保険証を持たない人に交付されている「資格確認書」がある場合は、会社に返却します。マイナ保険証だけを使っている人は、返すものはありません。

Q. 失業給付はいつからもらえますか?
A. ハローワークで求職の申し込みをしてから7日間の待期があり、自己都合退職の場合はそのあとに給付制限期間が続きます。2025年4月1日以降の離職なら、この給付制限は原則1か月です。振り込まれるまで1か月以上かかる前提で、生活費を準備しておきましょう。

Q. 退職を伝えるのが怖くて切り出せません。
A. まずは直属の上司に、落ち着いた時間を選んで対面で伝えるのが基本です。具体的な言い回しは、別記事「退職の切り出し方」で解説しています。

辞めたあとの生活費が気になる場合は、失業保険は20代でいくら?もあわせて読んでみてください。もらえる条件と、初回の振込までにかかる期間をまとめています。

退職日を過ぎたあとの社会保険の手続きは退職後の健康保険と年金の手続きにまとめています。任意継続は20日以内、国民健康保険は14日以内と期限が短いので、先に目を通しておいてください。

受け取る書類と返却物だけを一覧で確認したい場合は退職時にもらう書類と返すものにまとめました。源泉徴収票は退職の日以後1か月以内、退職証明書は請求すれば遅滞なくという法律上の期限も載せています。

まとめ

退職は、「意思を固める→上司に伝える→退職日を調整→引き継ぎ→備品返却・書類→最終出社」の6ステップで進めれば、円満に辞められます。カギは、就業規則の期日を守ること、上司から先に伝えること、そして有給消化を含めた退職日を早めに決めることです。

そして忘れやすいのが、辞めたあとの手続きです。健康保険と年金は14日または20日、失業給付は離職票が届いてからと、どれも期限があります。最終出社日をゴールにせず、そこから先の予定まで先に押さえておきましょう。

辞めると決めたら、早めに次の準備を始めるとブランク(無職期間)を防げます。次の一歩となる「転職活動の進め方」や、「転職エージェントは何社登録すべきか」もあわせて読んでみてください。

まだ辞めるかどうか迷っている段階なら、先に仕事を辞めたい20代を読んでから戻ってくると、判断がしやすくなります。

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