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「もう何日も会社に行っていない」「連絡もしないまま、着信だけが増えていく」——そんな状態のまま、この先どうなるのか分からなくなっていませんか。結論から言うと、働いた分の給料は請求できます。退職した人から請求があったときは、7日以内に支払われます(労働基準法23条)。
いつ雇用が終わるのか・給料と損害賠償は条文でどう決まっているのか・懲戒解雇と退職金は何で決まるのか。読み終わるころには、次に自分が何を確かめればいいかが決まります。
無断で来なくなっても、雇用はいつか終わる
まず先に、2つ断っておきます。まだ会社に連絡できる状態なら、退職の切り出し方のほうが早く終わります。ここから先は、連絡が途切れたまま日数が過ぎている人の話です。
2つめは、判断の線引きです。あなたのケースで賠償や懲戒解雇がどうなるかは、この記事では決められません。判断が要る場面では、厚生労働省の総合労働相談コーナーに相談してください。全国の労働局や労働基準監督署のなかなど378か所にあり、予約不要・無料で専門の相談員が面談または電話で対応します(土日祝・年末年始は閉庁)。(出典:厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」/2026年9月8日確認)
期間の定めのない雇用、つまり正社員のような契約で辞めるときの決まりはこうです。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。(出典:e-Gov法令検索「民法」第627条第1項/2026年9月8日確認)
読むところは「解約の申入れの日から」です。2週間が始まるのは、辞めると申し入れた日から。来なくなった日からではありません。申し入れが会社に届いていないあいだは、そこは始まりません。
つまり、連絡しないまま日数だけが過ぎている状態では、会社の帳簿の上では雇用が続いたままです。無断欠勤が積み上がっていくのは、この時間です。
契約期間が決まっている場合
契約社員やアルバイトで契約期間が決まっているときは、話が変わります。
当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。(出典:e-Gov法令検索「民法」第628条/2026年9月8日確認)
期間の途中でも、やむを得ない事由があれば直ちに解除できます。ただし、その事由が自分の過失で生じたときは、損害賠償の責任を負います。賠償の話が出てくるとしたら、まずここです。
会社側の決まりは、就業規則の「退職」の条にあります。国が示している手本だと、退職を願い出て会社が承認したとき、または退職願を提出して一定の日数が経ったときに退職になります。日数は会社ごとに埋めるところです。(出典:厚生労働省「モデル就業規則について」令和7年12月版・全体版PDF 70ページ・第52条/2026年9月8日確認)
働いた分の給料は、請求できる
「無断で辞めたから、給料はもう出ない」と思っている人がいます。そうじゃありません。
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。(出典:e-Gov法令検索「労働基準法」第24条第1項前段/2026年9月8日確認)
この条文には続きがあり、法令や労使協定に定めがあるときは賃金の一部を控除できる、という例外が並んでいます。税や社会保険料が引かれるのはこちらです。辞め方を理由に差し引く、という例外は書かれていません。
支払期限はこうです。
使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があつた場合においては、七日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。(出典:e-Gov法令検索「労働基準法」第23条第1項/2026年9月8日確認)
ここで大事なのは「請求があつた場合においては」という部分です。7日以内という期限は、あなたが請求してから動きます。黙っていると、そのまま止まったままになることがあります。
請求は、記録が残る形で出す
電話がつらいなら、メールや書面で構いません。次の5つが入っていれば足ります。
- 氏名と、在籍していた期間
- 未払いになっている賃金の対象期間(何月何日から何日までの分か)
- 振込先の口座
- 離職票・源泉徴収票の送付先住所
- 返却するものと、その返し方
金額の計算まで自分でやる必要はありません。締め日と支払日、そして請求した日付が残っていることが、あとで効いてきます。
制裁として減らせる額には上限がある
会社が就業規則で減給の制裁を定めている場合でも、額に上限があります。1回の額は平均賃金の1日分の半額まで、総額は一賃金支払期における賃金の総額の10分の1までです。(出典:e-Gov法令検索「労働基準法」第91条/2026年9月10日確認)
全額を取り上げる、という形にはならない、ということです。
損害賠償は「実際の損害」がないと請求できない
検索していて一番こわいのは、この話だと思います。ここは2段構えになっています。
まず、あらかじめ金額を決めておく形は禁止されています。
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。(出典:e-Gov法令検索「労働基準法」第16条/2026年9月8日確認)
「途中で辞めたら違約金◯万円」「1日無断で休んだら◯円」のように、額を先に決めておく取り決めは、この条文が禁じています。入社時の書面にそう書いてあっても同じです。
では賠償がまったくないかというと、そこは別です。先に見た民法628条の後半に、やむを得ない事由が自分の過失で生じたときは損害賠償の責任を負う、とあります。実際に損害が出ていれば、その分について責任を問われることはあります。
分かれ目は、実際にいくらの損害が出たのかを示すのが会社側だというところです。あらかじめ決まった金額があるわけではありません。売上が落ちた、代わりの人を雇った、という主張があるとしても、それがあなたが来なかったことによるものだと示す必要があります。
あなたのケースで賠償が認められるかどうかは、この記事では判断できません。損害の有無と金額は会社が示すもので、最後は裁判所が決めます。
すでに請求書や内容証明が届いているなら、この記事では足りません。届いた書面を持って、総合労働相談コーナーか弁護士に相談してください。引き継ぎをせずに辞めた場合の考え方は退職の引き継ぎにまとめています。
懲戒解雇と退職金は、就業規則で決まる
ここから先は、法律が答えを出してくれない部分です。懲戒の種類も、退職金があるかどうかも、会社ごとの就業規則で決まります。
目安になるのが、厚生労働省が会社向けに示している「モデル就業規則」です。自分の会社の規則ではありませんが、どんな書き方がされるのかは分かります。
手本の懲戒の条は、軽いほうと重いほうに分かれています。軽いほう(けん責・減給・出勤停止)の最初に並んでいるのが、正当な理由なく無断欠勤が一定の日数以上に及ぶときです。(出典:厚生労働省「モデル就業規則について」令和7年12月版・全体版PDF 87ページ・第68条第1項/2026年9月8日確認)
重いほう(懲戒解雇)にも、無断欠勤の項目があります。日数のところは空欄で、会社ごとに埋める形です。
正当な理由なく無断欠勤が[ ]日以上に及び、出勤の督促に応じなかったとき。(出典:厚生労働省「モデル就業規則について」令和7年12月版・全体版PDF 88ページ・第68条第2項第2号/2026年9月8日確認)
読み落とせないのは「出勤の督促に応じなかったとき」です。手本では、無断欠勤が続いていることと、督促に応じないことがセットになっています。日数のマスは会社ごとに埋めるところですが、連絡を返すかどうかがここに関わってくる、ということです。
退職金は、規程に書いてあるかどうかで決まる
退職金についても、同じ手本に書き方があります。退職金の条には、懲戒解雇された人には退職金の全部または一部を支給しないことがある、というただし書きが付いています。(出典:厚生労働省「モデル就業規則について」令和7年12月版・全体版PDF 75ページ・第54条/2026年9月8日確認)
あわせて、退職金制度そのものは必ず設けなければならないものではありません。設けたときは支給の要件や計算の方法を就業規則に記載することになり、不支給や減額の事由を設ける場合も、就業規則への明記が必要です。(出典:厚生労働省「モデル就業規則について」令和7年12月版・全体版PDF 75ページ・第54条の解説/2026年9月8日確認)
つまり、減らす条件が規程に書かれていなければ、その理由で減らすことはできないと読めます。まず見るのは自社の退職金規程です。
懲戒にも歯止めがある
会社が就業規則に書けば何でも通る、というわけでもありません。懲戒が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利の濫用として無効になります。(出典:厚生労働省「モデル就業規則について」令和7年12月版・全体版PDF 88ページ・第68条の解説/2026年9月8日確認)
あなたが懲戒解雇になるかどうかは、この記事では決められません。手元にあるなら、懲戒の条と退職金規程の2か所を開いてください。
そのあと必要になる書類を、どう頼むか
辞めたあと、手元に無いと止まるものがあります。賃金だけでなく労働者の権利に属する金品の返還も、請求があれば7日以内です(労働基準法23条)。書類はここに含まれる話です。
- 離職票。失業給付の手続きに要ります。期限ともらえないときの対処は退職時にもらう書類と返すものにあります
- 源泉徴収票。次の勤め先の年末調整や確定申告で使います。届かないときの進め方は転職1年目の年末調整にあります
- 健康保険と年金の切り替え。手続きの期限は退職後の健康保険と年金の手続きにまとめています
- 失業給付。いつから何日分かは失業保険は20代でいくら?にあります
返すものも同じ紙に書いておくと、往復が減ります。健康保険証、社員証、鍵、貸与されたパソコンや制服。郵送で返す場合は、送った記録が残る方法を選んでください。
いま連絡できるなら、何を書けばいいか
ここまで読んで分かるとおり、連絡が入るかどうかで変わる部分がいくつもあります。退職の意思が届いた日から2週間が動きだすこと、給料の7日以内が請求から始まること、懲戒解雇の手本で督促への対応が問われること。どれも、1通で状況が変わります。
電話が難しいなら、メールでも書面でも構いません。長い説明も、事情の釈明もいりません。次の5つだけで足ります。
- 退職の意思と、希望する退職日
- 出社できていないことについて、ひとこと
- 最後の給料の振込先
- 離職票と源泉徴収票の送付先住所
- 返却するものと、返す方法・時期
文面はこの程度で十分です。「◯月◯日以降、出社できておらず申し訳ありません。◯月◯日付で退職したく、お願いいたします。貸与品は◯日に郵送で返却します。最後の給与の振込先と、離職票・源泉徴収票の送付先は下記のとおりです。」
送った日付が残る形で出してください。メールなら送信済みのまま消さない、書面なら記録が残る郵送方法にする。あとで話がこじれたときに、いつ申し入れたかが分かるかどうかで進み方が変わります。
返事が来ないときや、話にならないときは、総合労働相談コーナーに持ち込めます。予約不要・無料です。
次の職探しで、この1〜3年をどう伝えるか
在籍が短いことと、辞め方に説明が要ることは、別の問題です。応募書類に書くのは在籍期間と、次に何をしたいかで、辞めた経緯を職務経歴書に細かく書く必要はありません。
職歴の書き方は短い職歴・空白期間がある人の職務経歴書と履歴書の書き方に、履歴書の職歴欄の並べ方は履歴書の職歴欄にまとめています。空白期間があるときも、そこで何をしていたかを1行で言えれば足ります。
書類に書かないぶん、面接では聞かれます。そのときは、事実を短く言って、次に向ける。前の会社側の事情を並べるほど、話は長くなります。
とはいえ、どこまで言えば足りるのかは、自分では決めきれません。人に一度聞いてもらうと、削る場所が見えてきます。
第二新卒エージェントneoは、東京・大阪・名古屋・福岡の拠点に行って、対面で相談する形です。対象は19歳〜29歳で、第二新卒・高卒・中卒・既卒・フリーターを前提にしています(出典:公式サイト・登録ページ/2026年9月11日確認)。ここに当てはまらないなら、転職エージェントおすすめ7選で対象条件を見比べてください。
短い勤務のまま、次を探し始めるなら
※登録すると、面談の日時と場所を自分で予約する形です。初回は基本的に来社で、Web面談を希望するときは問い合わせが必要です(出典:公式サイト/2026年9月7日確認)。
辞めるまでの手順そのものは退職の流れにまとめています。まだ在籍していて、辞めるかどうかで迷っている段階なら試用期間中に辞めたいときも参考になります。
よくある質問
Q. 無断で辞めたら、給料は出ませんか?
A. 働いた分は請求できます。賃金は全額を支払うもので、請求があったときは7日以内に支払われます(労働基準法24条・23条)。辞め方を理由に働いた分を出さない、という決まりはありません。
Q. 損害賠償はいくら請求されますか?
A. 金額が決まっているものではありません。あらかじめ額を決めておく取り決めは労働基準法16条が禁じています。実際に損害が出たかどうか、いくらかは、会社側が示すことになります。書面が届いているなら総合労働相談コーナーか弁護士へ。
Q. 懲戒解雇になりますか?
A. ここでは決められません。懲戒の事由は会社の就業規則で決まります。国の手本だと、懲戒解雇の事由は、無断欠勤が続いていることに加えて、出勤の督促に応じなかったことまでがセットです。自社の就業規則の懲戒の条を確認してください。
Q. 退職金はもらえませんか?
A. 退職金規程の書き方によります。退職金制度そのものが必ずあるものではなく、不支給や減額の事由を設けるなら、就業規則への明記が必要です。まず規程を確認するところからです。
Q. 退職届は出したほうがいいですか?
A. 出したほうが早く終わります。期間の定めのない雇用では、解約の申入れの日から2週間で雇用が終わります。申し入れが届いていないあいだは、その2週間が始まりません。
Q. 離職票はもらえますか?
A. 辞め方によって、もらえなくなるものではありません。期限と、届かないときの対処は退職時にもらう書類と返すものにあります。
まとめ
無断で来なくなっても、条文が消えるわけではありません。働いた分の給料は請求できます。賃金は全額払いで、請求から7日以内に支払われます(労働基準法24条・23条)。
損害賠償は、あらかじめ額を決めておく形が労働基準法16条で禁じられていて、実際の損害を示すのは会社側です。懲戒解雇と退職金は法律ではなく会社の就業規則で決まり、国の手本だと、懲戒解雇の事由には出勤の督促に応じなかったことまで入ります。
やることは、退職の意思を記録が残る形で1通出す → 給料と書類を請求する → 返すものを返すの順です。この記事は「連絡しなくていい」という話ではありません。連絡が1通入るかどうかで、2週間の起算も、7日以内の支払いも、懲戒の扱いも変わります。
そして、あなたのケースで賠償や懲戒解雇がどうなるかは、ここでは決められません。判断が要るときは、総合労働相談コーナーへ。予約不要・無料で、全国の労働局や労働基準監督署のなかなど378か所にあります。


